福袋とプロスペクト理論

この投稿のタイトルにある「プロスペクト理論」とは、

不確実性下における意思決定モデルの一つ。選択の結果得られる利益もしくは被る損益および、それら確率が既知の状況下において、人がどのような選択をするか記述するモデルである。行動経済学における代表的な成果としてよく知られている。
(出典:wikipedia「プロスペクト理論」)

人は、
「得の領域では低い確率を高く見積もり、損の領域では高い確率を低く見積もる」
という研究結果があります。
人間の行動パターンとして、損失を利益より過大に見積もってしまうのです。
もっと分かりやすく言うと、
「人は得たものの喜びより、損失した痛みのほうが強く感情に残る」ということです。
福袋とプロスペクト理論
さて、この理論が福袋とどういう関係があるかと言う話をしましょう。
この時期からお正月にかけて、小売り店では福袋というものがよく売られています。
日本の商習慣における風物詩的なものです。
この「福袋」は、元来、袋の中に何が入っているか伏せられていることをコンセプトに
購入価格以上の価値の商品が入っているというものです。
最近では中身が分かっているものも多く見受けられますが、本来は前記のようなものが一般的でした。
購入価格以上のものが入っているということで、
購入者は豪華な内容であることを期待する、つまり射幸心を煽る商品であります。
普段はなかなかたくさん買えない商品がたくさん詰め込まれ、おまけに値段が超お得に買えるわけです。
普通に考えたら”買わなきゃ損”ってなっちゃいますね。
しかし、この感情がとてもやっかい。期待が膨らみまくってしまうんです。
これを買って、自分が欲しいものばかり入っていたなら心から”福”袋だと思えるわけですが、
ちょっとでもいらないものや嫌いなものが入っていたらどういう感情になるでしょうか。
実際の価格よりもかなりお得な価格で購入しているにもかかわらず、なんだか損した気分になるんですね。
これが、先に書いた「人は得たものの喜びより、損失した痛みのほうが強く感情に残る」というものです。
商品レビューなんかで、こういうのを見たことはありませんか?
「期待していたものが入っていなかった」
「写真に写ってた商品が入ってなかった」
「ほとんどが好みのものじゃなかった」
「価格に見合わない」
「もうすでに持っているものが入っていた」
などなど。。。
売っているお店には、「中身は選べません」「写真は一例です」「○○円分相当が入っています」と
ちゃんと書いてあるにも関わらずです。
購入者の期待が大きすぎるとこうなってしまうんです。
人は価格的なお得感よりも自分の期待との差の大小で評価をしてしまいます。
この辺りの人間の感情をきちんと自分でも分かっていないと、
福袋を買う方も売る方もリスクが大きくなりますね。
さぁ、ここまで読んで、お正月に福袋を買う気になったでしょうか。
今はネットで中身を公開してくれる人もいますし、事前に調査することだっていくらでも出来ます。
うまく情報を活用して期待する結果を得られると良いですね。
ちなみに、当店では毎年「福袋の発売予定はありますか」とのお問い合わせを結構いただきます。
が、答えは「ありません」です。
いわゆる、「中身が不明なタイプの福袋」「いくら分お得か分からない福袋」というものは作りません。
その代わりと言ってはなんですが、いくつか「バリューパック」というものをご用意しております。
中身も全部分かって、通常価格と比較していくら分お得なのかがきちんと分かるセットです。
まだ数種類しかありませんが、今後増やしていこうと考えております。