美しい布が登場するマンガ

数日前から「乙嫁語り」というマンガを読み始めました。

森薫による長編第2作目。
19世紀後半の中央アジア、カスピ海周辺の地域を舞台に、「乙嫁」をキーワードに、厳しい自然の中に生きる人々の生活と文化、時に人間の愚行を織り交ぜた物語を緻密で丁寧な画で描く。乙嫁とは、「若いお嫁さん」、「美しいお嫁さん」、或いは、「可愛いお嫁さん」という意味の古語。(wikipediaより)

乙嫁語り
絵が好みではなかったので敬遠していたのですが、読み始めるといやはや面白い!
面白いという表現よりは素敵といった方が良い感じです。
で、なぜこのブログで紹介しようと思ったかと言うと、
物語の中で美しい(だろうと思われる)生地がたくさん登場するのです。
この地方(中央アジア、カスピ海周辺)では、嫁入り道具として布を持参するそうです。
その布というのは大変貴重で高価なもの。
女性は日々の仕事として動物の世話をしたり食事の準備をしたりするのですが、
その仕事の一つに紡績や織物もあります。
今と違って全て手作業ですから、布を作るのには大変な労力と時間が必要です。
しかも、織り上げた布にはこれまたたくさんの時間をかけて美しい刺繍を施すのです。
10代の若いうちに嫁ぐわけですから、嫁入り道具である布をたくさん準備するには
幼いうちから少しずつ作業してためなければいけません。
物語に登場する女性達もせっせと刺繍をします。
自分の好きな絵柄、とくにその地方にいる動物や植物をモチーフに。
マンガですから、それらの布の絵はモノクロです。
しかし、その布や刺繍の美しさを想像することができるのです。
多大な手間暇をかけて将来に備えるその女性達の日々の生活、
大切な人に贈る貴重な布の意味、
モチーフとなる動植物との関わりなど、
それはそれは見た目だけではない美しさがあるんですね。
このマンガには、娯楽としての面白さだけでなく博物学や民俗学的な面白さもあります。
興味のある方はぜひ読んでみてください。
乙嫁語り