スキャナ保存制度を利用したい!けど。。。
先日、事務所の片付けをしていたのですが、
保管場所をとって困るのが各種書類の束やバインダーです。
開業してまだ約4年程度の当事務所でさえも棚に多くの書類が陣取っています。
仕入や販売に関わる書類はもちろんのこと、
領収書や棚卸表、決算書や会計上記録している帳簿など「帳簿書類」と呼ばれるものは、
その事業年度の確定申告書の提出期限から7年間保存しなければなりません。
参考:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間及び保存方法」
そして、この保存方法が原則「紙」!
これ以外には、マイクロフィルムやDVD・CD等電磁的な記録方法、
スキャナによる保存というのもあるにはあるのですが、
電子署名やタイムスタンプを付しなければいけません。
さらに、あらかじめ所轄税務署長に申請書を提出の上承認が必要。
ということで、たいていの小規模事業者や個人事業者は
紙ベースでの保存方法をとっているのではないでしょうか。
そして、今年2015年の税制改正で、このスキャナ保存制度が少し変わりました。
これまでの制度では、3万円を超える領収書や請求書は電子保存できませんでしたが、
今回の改正によりその金額制限が撤廃され、
全ての国税関係書類が電子データでの保存ができるようになりました。
電子署名は必要なくなったり、グレースケール(白黒)での保存でも可になったり
緩和された部分がかなりあります。
この制度は2016年(平成28年)1月1日から利用できるそう。
初日から利用したければ、3ヶ月前の2015年(平成27年)9月30日までには
申請書を提出しなければならないのはこれまで通り。
しかーし、これには大きなハードルがあったのでした。
「スキャナ保存制度」を利用するために最低限必要なことというのがありまして。。。。
そのハードルというのは大きく分けて以下の3つ。
「スキャナ保存制度」に対応するためには、タイムスタンプのシステムを導入しなければなりません。
「スキャナ保存制度」を利用するためには、電子データの確認・改ざん防止施策・日々の運用方法などを記載した「規程」を作らなければなりません。
取り込んだ電子データを削除したり修正したり、画像に追記したりした場合は、その履歴をシステム管理しなければなりません。
(出典:弥生株式会社 スモビバより)
こちらも参考までに。
「カメラで領収書を撮ればいいと思ってませんか?
領収書の電子保存が普及することはない確かな理由」(出典:RUCARO株式会社 rucaro blog)
タイムスタンプってなんだ?と思われる方も多いことでしょう。
タイムスタンプとは、電子ファイルが
「いつから存在し、その内容が現在まで全く変更されていない」ことを証明するための
技術もしくはシステムのこと。
存在時刻(そのファイルがいつから存在しているのか)と
非改ざん性(存在時刻から現在まで内容が変更されていないか)を証明する
公平な第三者機関(Time Stamp Authority)によって提供されるシステムを導入しなければ、
電子書類にタイムスタンプを付与することはできないのです。
そしてこれの導入コスト・ランニングコストはかなりの額なんです。
これでは個人や小規模事業者にはハードルが高すぎますよね。
規模が小さいからこそ場所や管理コストを取られずに済む保存方法をとりたいのに、
これでは断念せざるをえません。
事業が続く限り、常に7年分の書類が棚に陣取り続けるってことですね。とほほ。